ブログのネタがない!何かください!とツイートしたところ、奥野じゅん先生からご質問をいただきました。
「どうしてそんなにハイペースで書き続けられるのかを知りたいです! ネタを思いつくのもすごいし、書くのが速すぎてすごいです
1冊を速く書くのは根性でできるかもしれませんが、8巻も続けられるのは、なにか別の能力が必要な気がします」
いや、私、ぜんぜん速くない……!
『サキヨミ!』シリーズはだいたい4か月ごとに1冊出していますが、スケジュールはかなりゆるいです。何しろ私は1シリーズしか持ってないので……!
勝手にお名前を出して申し訳ないのですが、児童文庫で5シリーズ出していらっしゃる高杉六花先生は、ひと月で初稿を二本書かれたりしています。改稿・著者校・プロットは1日~2日、初稿は一週間で書くこともあるとのことです。それに加えて家事育児講演ラジオ出演などをこなしていらっしゃるので、本当に同じ人間なのかと疑いたくなります。私だったらコピーロボットでも使わない限りとても無理です。
ゆえに私などが答えていい質問ではないと思うのですが、私なりに考えてみましたので、以下書ける範囲で書いてみたいと思います!
【スケジュールについて】
・プロット
ワードでどばーっと書いて、一日~一週間くらい。
ボツになることもあるので、なんだかんだ一か月くらいかかってます。
初稿で迷いたくないのでできるだけキャラの心情を考えながら書きます。そのためセリフを多用します。
結果、A4で11~12ページ、一万字を超えてしまうことがほとんど。
担当さん用にセリフをカットしたスリムバージョンを作ることもあるのですが、それでもページ数はあまり変わらないので、毎回読んでいただくのが申し訳ないです。
・初稿
間に書かない日を入れつつ、だいたい二週間~一か月ほどで書きます。
何しろ児童文庫なので1冊の文字数は7万字ほど。一般文芸よりずっと少ない……ですよね?
プロットのおかげで迷うことが少ないので、がしがし書けます。
そのぶん初稿の出来はひどいもので、二稿でめっちゃ苦労します。プロットをあまり固めていなかったときは、半分くらい書き直したことも。
一日10ページ~20ページ(つばさ文庫の体裁で)書ければ上等だと思ってます。2ページしか書けない日もあります。
・改稿
だいたい一か月くらいです。
・著者校
優柔不断なため、毎回付箋を大量に消費。
読み直すたびに「ん?」という場所が見つかって本当にキリがないので、かなり苦手な作業です。締め切りギリギリまで一週間くらいかけてしまうことも多いです。
【シリーズものとしての組み立て方】
これは表ストーリー(表面上のプロット。事件、イベントなど)と裏ストーリー(水面下のプロット。テーマ的な部分)、それぞれで考えてみました。
まずは表ストーリーについて。
表①ネタ出しは季節・イベントを軸に考える
『サキヨミ!』は主人公が中学生なので、季節ごとの行事やイベントを出発点として考えやすいという点があると思います。2巻以降、「遠足」→「テスト」→「親睦会」→「合宿」→「文化祭」といった感じで書き進めました。
大人が主人公でも、「季節」を意識することでアイディアが出やすいかもしれません。
表②焦点となるキャラクターを巻ごとに変える
これは次の「裏ストーリー」の項で語ることとかぶるのですが、巻ごとにストーリーの主軸を担うキャラを変えていくことでお話を続けやすくなると感じています。
「サキヨミ!」の場合、1巻は美羽、2巻は夕実、3巻はレイラとチバ、4巻は瀧島、5巻はすみれが軸になっています。
巻ごとにゲストキャラクターを出してしまうのも手です。3巻の深谷、4巻のハルとコウキなどは、それぞれ軸となるキャラクターの葛藤を描き出すために登場させた人物になっています。同時に、彼ら自身の課題を克服するお話にもなっています。たぶん。
表③大きめの縦軸を考える
複数巻かけて「倒すべき敵」とか、「解決しなければならない問題・謎」を用意することです。
「2冊で終わらせるパターン」「3冊で終わらせるパターン」などと分けて「それぞれの巻で達成すべきこと」を考えていけばできなくはないと思います。難しいですけど……。
表④前の巻に書いたことを伏線として利用する
これは聞いた話なのですが、以前ちょこっと出しただけのキャラクターやアイテムなどを再利用&意味を持たせることで、伏線とその回収を後から入れることができるそうです。
後々シリーズ化したときに伏線として使えそうな要素を意識的に入れながら書いている作家さんもいらっしゃるとか。
これはシリーズものとして連続性を持たせるための技ですが、私自身はあまりうまく使えていません。。
次に、裏ストーリーについて。
だいたい主人公は1巻でひとつの成長を遂げてしまうので、その後の成長(変化)が作りにくくなるということはあると思います。ので、
裏①主人公の課題を小さくする・分ける、もしくは複数の課題を用意する
主人公が1巻で克服する課題を小さくする、あるいは大きな課題の一部にすることで、続く2巻、3巻を書く際に、主人公が取り組むべき課題を残しておくことができます。
「小さくする」「分ける」ことに抵抗を感じるのであれば、初めから主人公に複数の課題を用意してしまってもいいかもしれません。
裏②主人公以外のキャラの成長を主軸に据える(→前項②)
1巻で主人公が成長したので、今度は主人公の周囲にいる人物を「変化後の主人公」の力を使いつつ成長させていく、というやり方です。
この場合、勝手にひとりで成長させるのではなく、主人公をからませることが大事だと思います。
裏③課題や成長を見つける話にする
表ストーリーを先に考え、それを「だれかの課題のあぶり出し」に使えないか、後から考えていくという方法です。
ある程度巻数が長くなってくると、毎回だれかを成長させるのもしんどくなってくるんじゃないかと思います。
それなら、1巻まるまる使ってキャラクターの「見えていない課題」を引きずり出してみましょう。
「意外な過去」とか「しんどいトラウマ」とかは、けっこう後づけできるものです。そこまでの巻でまったく匂わせていない場合は唐突感が出てしまうかもしれませんが、なんとなく設定した「苦手」や「弱点」がここで生きてくる場合もあると思います。
蛇が苦手? 料理がヘタ? それなら、何かそうなった理由をつけてしまいましょう。うまくいけば、そのキャラクターが克服しなければならない課題が爆誕します。
1巻まるまる使わなくても、1冊で課題発見→克服までできるかもしれませんが、そこはシリーズものですから! 課題発見だけの巻があってもぜんぜんオッケーだと思います!
※なお、これは今考えた方法で、私自身はやったことないです。
……すみません。内容がないのにやたらダラダラと長い、見せかけだけの記事になってしまいました。
少しでも何か参考になる部分があれば幸いです!
奥野先生、ご質問をどうもありがとうございました~!!
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