一月、二月とやる気が行方不明でほんとひどかったのですが、三月に入ってあたたかくなってきた途端、あれもこれもと妙なやる気が出てきました。
けれどもなまけ癖がついてしまったため、やりたいこと、やらなければならないことがどんどん増えていく一方で、ほとんど消化できていません。
ツイッターで他の作家先生方の怒濤の仕事っぷりを見るたびに「神だ……違う人種だ……」と遠い目になる日々です。同時に何作も書くとか私には到底無理……すごい……!
以下、今月のできごとです。
・整体に通い始めた
体のどこがどう痛いというのはないんですけど、もともと骨格が歪んでる自覚はあって、特に出産後は尻が巨大化して鏡に映った自分の後ろ姿に驚愕したくらいなんで、なんとかしたいっていう思いはずっとあったんですよね。
そして数年前、割と近所に整骨院ができて、どうせすぐになくなるだろうな(失礼)とか思ってたけどすごく長続きしてて。一回くらい行ってみようかな……という思いが芽生えてきたのが、約数ヶ月前の話。
今月誕生日でひとつ年を取ったのを機に、とりあえず行ってみよう、ということで初整体へ。いろいろ初体験ですごく面白くて、これは気分転換にもいいかも!と思ってそのまま契約してきちゃいました。
一回目から体が軽くなってよく眠れるようになったのと、翌日いろんなところが筋肉痛になるから効いてるんだと思います。こころなしかお腹周りスッキリしてきたし。こころなしか。
スタッフの方は若い人が多くていろいろおしゃべりしながら施術してもらってるんですが、こないだ「いっちばんオススメの漫画とかアニメって何かあります?」って聞かれて、めちゃくちゃ迷った末に「めぞん一刻」って答えたんですよ。
(これ、ひとつに絞るの難しくないですか……?いきなり聞かれるとぱっと出てこない!)
そしたら「え?めぞん?何すか?」って。なんと知らなかったんですよ。
そりゃそうか古いしと思って高橋留美子の作品だと伝えたらそれもピンときておらず。「犬夜叉の」って言ってようやくわかってもらえました。そうだよね……古いよね……。
というわけで、めぞん一刻について少し語ろうと思います。
めぞん一刻は保育園くらいの頃にアニメでやってて(たしかドラゴンボールの次だった)、なんとなく見てたんです。
うちに中途半端に漫画もあったので、中途半端に読んだこともありました。漫画を読んだのは小学校低学年の頃。ふりがながないから読めない字も多く、「全く」をしばらく「ぜんく」と読んでました。「まったく」と読むのだと知ったのはしばらく後のことです。
そのうち親が完全版の最終巻あたりを買ってきて、四年生くらいの頃にようやく最後まで読みました。プロポーズやお墓参りなどの名場面はもちろん、二人の結婚に向けていろいろなことがしゅるしゅると収束していく様子が本当に面白くて、何度も繰り返し読みました。
八神いぶきが登場する教育実習編も大変に好きです。かつての惣一郎と同じ立場になった五代、かつての響子さんと同じ立場の八神を通して、彼女の止まっていた過去が少しずつ動き始めるんですよね。響子さんについて先生がとてもいいことを言いますし、惣一郎と五代は違う、五代は新しい形の未来を響子さんに与えることができるのだ、という予感を感じさせてくれる、とても意味のあるパートだと思います。
大人になって読み返して思ったのは、響子さんがめちゃくちゃ面倒くさくてやっかいな人だってこと。
三鷹さんとデートして気を持たせておきながら実は五代が好きで、何年も自分の態度を決めずにずるずると二人の時間を奪って……嫉妬深いしすぐに機嫌を損ねるし、かなり子どもっぽい人なんですよね。終盤、朱美さんがばしっと言ってくれた例のシーンはとても気持ちが良かったです。
でも、彼女の過去を考えれば仕方がないのかも。惣一郎さんとの思い出を抱きしめて、過去の自分のままで生きようとしていたから、それを守るためにかたくなな態度を取らざるを得なかったのかもしれません。
惣一郎さんのいない世界で幸せを求めてしまったら、これまでの自分が自分でなくなってしまうような恐怖もあったのでしょう。
二十代前半でこれだけ面白くて深い漫画を描いた高橋留美子先生は、やっぱり神だなあと思います。
「めぞん一刻」は「進撃の巨人」とともに、全人類に読んでほしい漫画です。まだ読んでいない方はぜひ。
・「七人の侍」を見た
娘といっしょに映画を見る活動も続けています。冬休みの始まりに「羅生門」を見たので、今回は「七人の侍」を見ました。
三時間超え(途中に「休憩」があるよ!)の作品であることから、これまでなかなか手が出せずにいたこの作品。
私は学生のときに初めて鑑賞して以来数回見ているのですが、やっぱり何度見ても面白いですね。娘も楽しみながら見てくれました。
今見ると序盤の侍を集めるパートが少し長く感じますが(何せここだけで一時間)、たっぷり時間をかけて登場人物を丁寧に描いているからこそ、あの面白さにつながるんだろうなと思います。
これまでは最後の決戦のシーンが迫力があって一番好きだったのですが、今回見て「いいな」と感じたのは、菊千代が落ち武者狩りの獲物を勘兵衛たちに見せるシーンです。あそこで語られた百姓の本質に菊千代の秘めたる思いが表れていて、涙がにじみました。
脚本執筆時、当初「六人の侍」だったところ、侍と百姓をつなぐ存在として菊千代というキャラを投入して「七人」としたそうですが、本当に菊千代は重要な役割を果たしているキャラだなあと思います。笑いも提供してくれるしね。与平との関係もよかったです。
与平と言えば私は左ト全のファンなのですが、初見では彼のセリフが聞き取れず難儀しました。今回は字幕つきで見たのでバッチリでしたが、前々から「どうして黒澤作品はこんなに音質が悪いんだろう」と思っていたんです。
で、最近知ったんですが、映画館の客をスクリーンに集中させるためにわざと音質を下げ、あえて声を聞きとりづらくしていたのだとか。当時の映画館は上映中のおしゃべりも当たり前だったとか。なるほど、納得です。
次は最近リメイクされた「生きる」を見たいと思っています。その次は「蜘蛛巣城」かなあ。
・中国映画「少年の君」を見た
めっちゃくちゃ引き込まれたよね……。
大学受験を控えた女子高生とケンカばかりの不良少年の純愛もの……と書くとすごく軽い印象になってしまうんだけど、全編を通して痛みが伝わってくるめちゃくちゃ切ない映画。どうも実話に基づいているらしいのがさらにすごいところです。
始まりは同級生のいじめによる自殺。やがていじめのターゲットが主人公になり、ふとしたことから出会った不良少年にボディガードを頼むようになる。互いの孤独を癒やすように交流を深める二人だったが、やがて事件が……。
主演の二人がすばらしくて、クライマックスは涙なしには見られませんでした。
今の日本でこういう映画が作れるんだろうか。才能があるクリエイターはたくさんいると思うのだけど、彼らが活躍できる環境がない、というのが実情だったりするのかな。うーん、がんばれ日本映画界。
・「まんが道」を読み終えた
最後に、お仕事のことを!
『サキヨミ!』9巻ですが、がんばって作業中です!
夏発売予定ということですが、近々発売日をお知らせできるかもしれません。
つばさ文庫も15周年ということで、いろいろと楽しい企画が目白押しのようです。
公式サイトやツイッターをチェックして、ぜひみなさんも楽しんでくださいね。
それでは、また~!