ありがとうございます!!「サキヨミ!」を読んで小説を書きたいと思ってもらえるなんて、すごくうれしいです。「サキヨミ!」も完結が近づいてきているので、きれいにお話をたためるよう力を尽くしたいと思います。次回作も出せるようにがんばりますので、よろしくお願いします!
私が小説家になりたいと思ったのは、小学生のときでした。小説を書いて友人や先生に読んでもらっていましたが、終わらせることはできずに書くのをやめてしまいました。
中学生になったある日、とつぜん「芥川賞をとる!」と決めて小説を書き始めたのですが全然書けず、受験勉強に追われてこちらもすぐに書くのをやめてしまいました。その時期に見た映画「耳をすませば」で、主人公の雫は受験生なのにちゃんと小説を最後まで完成させていて、すごくえらいなと思いました。
高校になってから読書に目覚め、いきなり三島由紀夫を読んで衝撃を受け、「高校生のための文章読本」という本を読んだことをきっかけに、短い小説(純文学)を書き始めました。こちらが友人にほめられたことでいい気になり、ひょっとしたら小説家になれるんじゃないかと思い始めました。
大学に入って賞に応募するための小説を書き始めましたが、長いものを書いたことがなかったので全然うまくいかず、一次通過もできませんでした。就職活動を始めたとき、ほぼ同い年の女性が芥川賞をとり、「私は小説家になれない運命なんだな」と思い、そこから何年か小説を書くのはやめてしまいました。
再び書き始めたのは結婚してからで、夫に「書いてみたら」と言われたからでした。大学生のころよりは多少書けるようになっていましたが、それでも一次通過もできませんでした。
その後子どもが生まれたことをきっかけに「もう小説はやめよう」と決めたのですが、あるとき急に思い立って書いた小説が二次選考まで進みました。それから再び「小説家、なれるかも。なれるんじゃない? よし、なろう!」と思って挑戦を始めましたが、最高は三次通過で、結局受賞にはいたりませんでした。
小説に集中するために仕事をやめて少し経った頃、児童文庫の賞があることを知りました。子ども向けのエンタメ小説を書くのは初めてでとても難しかったのですが、同時にとても楽しく、応募作も一次通過することができました。
それからは児童文庫に的をしぼって挑戦を続け、仕事をやめてから三年目、角川つばさ文庫小説賞を受賞することができました。
小学生のときに小説家になりたいと思ってから、三十年近く経っていました。
これだけ長々とあまりかっこいいとは言えない経歴を書いたのは、小説家になるには、その人に一番ふさわしいタイミングがあるんじゃないかな、ということです。
私がもし大学時代に運よく受賞してデビューしていたとしても、二作目が出せずに消えていたと思います。そのまま過去の人として忘れ去られ、再び小説を書くことはなかったんじゃないかな、と。
結婚しなければ、子どもを産まなければ、今も小説は書いていなかったかもしれません。私が今小説家として本を出すことができていて、このご質問への答えを書けているのは、さまざまなめぐりあわせの結果です。
小説家になりたいという夢があることはすばらしいし、それに向けて努力することもそれ以上にすばらしいことだなと思います。ぜひぜひ、角川つばさ文庫小説賞に挑戦してください!
一度の応募で受賞できるかもしれませんし、何度応募してもなかなかうまくいかないかもしれません。質問者さまが小説家になるタイミングは、だれにもわかりません。
でも、私みたいに途中で「自分はだめなんだ」と思い込んだり、簡単にあきらめたりせずに、とにかく続けてほしいな、と思います。小説家にかぎらず、夢を叶えるために一番必要なことは「続けること」だと思っています。続けることも、ひとつの才能です。
質問者さまが夢に向かって進み続けていけるように、今はまず、その土台作りをしましょう!
今しか経験できないことを経験して楽しんだり、夢中になれることを見つけたりすることが何よりも大事だと思います。日記を書いたりするのもおすすめです(大人になると、学生時代に感じていたことや考えていたことって、けっこう忘れてしまうので……!)。
デジタルかアナログかですが、これは試してみて書きやすいほうでいいと思います! 今はデジタルのほうが主流ではありますが、つばさ文庫小説賞は手書きの原稿でも応募できます。
小説家になると原稿などのやりとりはデータで行うことになるかと思うので、デジタルに慣れておく(手書きの原稿をデジタルで清書するなど)のもよいかと思います!
そしてとにかく、本を読みましょう!好きなジャンルの小説だけでもよいのですが、他のジャンルの小説や、名作と呼ばれるものに挑戦してみることもおすすめです。
十代のときに読んでおくといいかも!と思った小説をいくつかご紹介します。
穴 HOLES/ルイス・サッカー
……「伏線」というものを知るには最適の一冊。とにかくおもしろいです。
推し、燃ゆ/宇佐見りん
……最近の芥川賞受賞作の中ならこれ。主人公が高校生なので入りやすいのではないかと思います。
氷点/三浦綾子
……小説というのは人間の心を描き出すものだと思うのですが、こちらはその点を深く掘り下げた作品です。とてもおもしろいので、ぜひ。
高慢と偏見/ジェイン・オースティン
……世界の十大小説に選ばれている名作、というととっつきにくそうですが、簡単に言うと18世紀のイギリスが舞台のラブコメ小説です。セリフなどのキャラクター描写がとても上手。夢中で読めます。
こんな感じで大丈夫でしたでしょうか。求めている答えではなかったらすみません……!
また何かありましたら、お気軽に聞いてくださいね。
応援しております!!